クルマに乗り込み、エンジンをかけて、すぐにアクセルペダルを床まで踏むような運転をしていませんか?
実は、その運転方法はクルマの故障の原因や寿命を縮める原因になります。
ほとんどの方は運動をする際、準備運動から始めますね。
人は準備運動をすることなく、激しい運動をすると怪我をしやすくなります。
クルマも人と同じく準備運動をしないと故障の原因になります。
現代のクルマは精度が高いから慣らし運転が必要ないと思う方もいるかともいますが、ある理由から慣らし運転が必要です。
なぜ、クルマも人と同じように準備運動が必要なのか?その理由を紹介していきます。
クルマに慣らし運転が必要な理由
クルマのエンジンやトランスミッションの多くの部品は主に金属でできています。金属は熱によって膨張する性質を持っています。クルマの部品は熱が入った状態で使用されることを想定して設計・製造されています。なので、金属部品が冷えていると想定より部品が小さい状態なので部品同士に隙間が発生したり、部品の組み合わせが悪くなります。
もちろん、部品が冷えた状態で走行することは想定されていますが、部品が冷えた状態でレブリミットまでエンジンを回すような高負荷をかけた運転をすることは想定されていないので、エンジンが温まる前に全開走行をするとクルマが不具合を起こす原因となります。
以前、私はベアリングの検査をしたことがありますが、測定単位はマイクロメートルと非常に小さく、手で持った際の体温で大きさが変わりますので取り扱いに注意がする必要がありました。ベアリングは外径、内径、幅、隙間など多くの測定項目があり、1つのでも公差内に収まっていなければ不具合品となり、出荷できないほど厳しい検査基準があります。
また、走り始めはタイヤが冷えています。タイヤが冷えているとゴムが固くなり、グリップ力が低下します。グリップ力が低下したタイヤではスリップ事故が起こりやすくなっています。高速道路の料金所やイベント会場の出口で勢いよく加速したスポーツカーがコントロールを失って事故を起こしている光景を動画などで見たことがあるかと思います。
慣らし運転の方法
走り始めは3000rpm以下で、急発進・急ハンドル・急ブレーキを控えて走行しましょう。
外気温や走行環境によって異なりますが、10分10kmほどでエンジンが温まってきます。
油温が適温(車種によりますが、おおよそ90℃といわれています。)になりましたら、徐々にクルマに負荷をかけていきます。
人の体とエンジンは似ている部分もあります。
愛車を大切に長く乗るにはエンジンが温まるまで負荷をかけない運転を心がけましょう。